2012/11/10

いじめと向き合う 下 中日新聞 2012/11/10

引用------------------------------------
子どもの電話相談の受けてきた「せたがやチャイルドライン」のベテラン相談員三人による座談会。後半は、現在のいじめ問題をどう捉えているかを聞いた。

-いじめ問題をどう見るか。

A いじめられている子が注目されるが、いじめている子が気になる。警察の介入が増えているが、それだけでいいのか。子どもは警察が入ったり、大ごとにしたいと思っていない
なぜいじめるようになったのか、聞いて上げる必要がある。再発防止には加害者のケアも必要だ。
C 警察介入は学校も親も「子どもと向き合わない」と宣言しているようなもの。それでは、子どもも「何かあれば警察に言おう」と思うのでは。
A 人とのつきあいかたを学ばないまま大人になっていくのが怖い。娘も小学校でいじめられたが、いじめていた子もつらい状況にあるのを知った。その子と親を含めて話し合ったことで、尾を引かなかった。「いじめる子を追い出すしかない」という考えは寂しい

-人間関係が希薄になっているのでは

-電話相談で、第三者の立場で話を聴いてできることは
Aトラブルの原因や解決策は、子ども自身が考えることが大切。子どもも自分で何とかしたいと思っている。その気持を支えるために一緒に考えよう、話ししましょう、という姿勢が必要ではないか
以上引用-------------------------------------
1.文脈からいって、警察介入を望んでないのは加害者で、それせずに、加害者にいじめている理由を聞くべきという考え。
確かに、子どもと向き合って、理由を聞くことは大事だし、前提としてそうすべきというのは分かる。
でも、警察が介入するケースは、暴行や、強要や恐喝といった犯罪レベルの話で、そこまで進行しているものに理由を聞いてなんて話はあるだろうか。ものを盗んだ人になんで盗んだか聞くのか。暴行する人たちになんで暴行するか聞くのか。大ごとにしたくないのは、加害者と学校関係者じゃないのか。むしろ、おおごとにしなきゃいけないことじゃないのかと。
少なくとも、警察はいじめを止める機関ではないけど、法に触れる行為を取締り、自殺を防ぐことを期待出来る法によるの取締は学校では出来ないから
虐待を防ぐことは、児童相談所には難しくても、虐待死を防ぐことを期待されるのと同じだ。

生命、身体、精神の危機に対して、あらゆる方法で抵抗することが許されるべきだ
マサリク チェコの精神から

「いかなる人間も、自分の隣人を殺す権利をもたない-この人間性の法は、例外なくあらゆる人間に当てはまる」。それ故、そこから、人間性の倫理にとって、「全ての人間は、肉体的および精神的生活に対する脅威に対しては、それが誰からくる脅威であろうとも、いかなる状況のもとでも、抵抗することが許されるし、さらなる抵抗しなければならないという、第二の規則が出てくる。全ての人間は、暴力と暴力性から自己を防御すべきなのである
つまり、親に言って、学校にいって、教育委員会にいって、警察にいって、最後は実力行使でも、それが肉体的、精神的な脅威から守るためなら正当化されると考える。
ただ、厄介なことに加害者も、それが生徒であれ教師であれ、被害者、攻撃対象から抵抗されると、彼らにとって精神的脅威とみなされ、相手を痛めつける衝動をおこさせる。全能はずされ憤怒「お前が思いどおりにならないせいで」
だから、悪への抵抗、理不尽と思われる組織の処遇への抵抗が、自分の望む状態になるとは確信出来ないところがある。

2.子どもが自分で理由を考え、自分で対処するのを助ける
ほんと何言ってんねんと思うのだが。。自分で解決できたら苦労もないし自殺も起こらんわ。
ああ、でも「3月のライオン」では、零くんがひなちゃんの話を聴いてあげてたっけ。
6巻でも零くんが自分の高校の先生に相談して、
「まず家族に話せたのがすごくでかい」
「誰にもいえなくて一人で抱え込んでしまうのが一番まずいんだ」
「(インターネットを見ても)答えはどこにも載ってない」
「完璧な答え」なんてどうやったって出てこない

でもー最低限やっちゃイカンことも見えてきた
「解決しないと!!」って周りの人間がヒートアップして本人の気持ちを置き去りにしてつっぱしちまうことだ。
本人が「大ごとになりたくない」「したくない」と願っているのにお互いの家族が学校中を巻き込んで大騒動して解決してもダメなんだ。
たとえ、いじめが沈静化してもそこに居場所がなくなっちまたんなら意味がねーからな
だから大事なのは、「ひなちゃんがどんな風な解決を望んでいるか」をよく聞くことだ
ここは時間がかかってもいいから、ゆっくる思ってることを聴いてあげるんだぞ

でも、実は、意外に効果が高いのが
相手に何かされたときその場で「やめて」って言えることなんだが。。

 聴いてあげることで、そのひとの勇気になったり自尊心を助けるのかもしれないと思い直した

>いじめられている理由を考えることが大切か?
多くの場合、クラスのグループ内のヒエラルキーが低く同調力(周りのノリに合わせる力)が弱い者がいじめの被害に合うという。
スクールカーストとタイプ別の「いじめ」(図表3 コミュニケーション能力の高低によるクラス内地位)森口朗『いじめの構造』より

>相談員の仕事の意義は理解できる
話を聴いてあげる事はすごく大事で救いになる
いじめで苦しむ子どもが苦しみを打ち明け聴いてあげる行為はすごく大事だ
NHKスペシャル「いじめ 第2回 教師 いま何ができるのか」で、自殺した子どもの母親が、他のいじめられている子どもの電話相談にのっているという話があった。
「NHKアーカイブス」  - いじめ 子どもたちのSOS -ブログ
母親が、来た手紙に必ず書くことばは、あなたは悪くないので自分を責めないでください、などであった。母親は、今でもいじめにあっていたことを言って欲しかったとコメントした
3.「いじめる子を追い出すしかない」という考え
確かに、いじめ加害者は話が通じない集団として彼らを排除するか、自分が不登校するかという2者択一も違う。被害者が一方的に不利益を被るのもおかしい。
なんとか虐めている彼らの利害計算に、親、学校が働きかけて、被害者を生贄のようにすることが、損になると思わせるように向かわせないといけないと思う利害計算にもとづくいじめ(内藤朝雄『いじめの構造』より)

4.-人間関係が希薄になっているのでは
これも 内藤朝雄『いじめの構造』で書いてあったが、彼らはノリという濃密すぎる人間関係の中にいると 群生秩序と市民社会の秩序内藤朝雄『いじめの構造』より
つまり、不勉強な識者たちの思いつきの矛盾した概念
人間関係が希薄ー濃密
幼児化    -計算高く人の目を気にするのは大人以上
無秩序    ー秩序過重
内藤朝雄の本を読んで良かったと思う点は、こういういじめについての記事で出てくる論点、人間関係が希薄だからなどという考えに、それは違うという物差しを持つことができることだ。

いじめがあったらもう学校に行かなくていいってのや、すぐに警察の介入ってのもしかしたら乱暴で、
そうなる前に、確かに、率直に話すことが解決の大きな鍵なのかしれない。。
逆に話すことがもっとも難しく、問題が深刻化しているとも言えるが。

3月のライオンの方法といじめの構造の方法は全く違う。
3月のライオンの方悪くすると、児童相談所が、対象の両親との関係を損なわないように慎重に介入して、結局子供が死んでしまうパターンを想像する。
いじめの構造の方法は、相手を怪物とみなし、話し合いなんて想定していない。生徒内の秩序を崩すことを目指している。
3月のライオンでは、先に書いたように「意外に効果が高いのが相手に何かされたときその場で「やめて」って言えることなんだが」といっているが、内藤朝雄の解釈によると、抵抗は相手の怒りをかい余計いじめられるから、やめてなどと言うべきじゃないってことになってしまう。
少なくとも、理不尽な現実は固定的なものと捉えない方がいいとは思う

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