2012/02/26

受難 姫野カオルコ 感想


◆本を読む参考にしたい方は↓

◆ネタバレ有りの感想です
よかったけど、どうよかったと書いたらいいか分からなかったが、
新聞にエピクテトスの名言が載ってて、これだと思った。
「汝を罵倒したり、打ちたるその人間が汝を虐待するにあらず。それを恥辱なりと考える汝の想念が、然らしむることをしかと考えよ」
「人間を不安にするものは物事そのものではない。物事に対する見解が人間を不安にさせる。」(別訳)
幸福への道はただ一つしかない。
それは、意志の力でどうにもならない物事は悩んだりしないことである。

著者自身に他人を気にして不安になる傾向が(鬱病のときには特に)あったようです、それが上のエピクテトスの名言にシンクロしたんだと思う。フランチェス子がお客を傷つけたら大変と黒衣で対応する姿と、
「きっとAさんは、こんな会うべき価値もない私と会って、時間を無駄にしたと不愉快に思っているにちがいない」
と思ってしまう姿がダブル。鬱病について/姫野カオルコ(2010.9.1記事・再録)

「もう私のことはわからないのだけれど」 のなかに、胸に閉まっておくという話があった。
これも、「受難」のなかの、言わないで欲しかった話とダブル。恥をかかすのも恥をかかされるのもいやと。著者のなかに言わないと決めて一生胸に仕舞ってあることがあるんだろうと想像する。
たまには本当の自分のありのままを出すのも大事かもしれませんが、大抵の場合、なんでも正直にありのまま話すのがいいわけじゃないですよね。
「自分に欠けているものを嘆くのではなく、自分の手元にあるもので大いに楽しむ者こそ賢者である。」
コンピューターってあんなに便利なものじゃない。完全に登録しないと、欲しいデータは得られない。 曖昧な気まぐれな登録しかしないと、気まぐれな答えしか得られない。そこは姫野さんがコンピューターを買いかぶってるって思った。
「快楽を控える賢者、快楽の奴隷になるは愚者なり」
「快楽に抵抗する人は賢者。快楽の奴隷になるのは愚者。」(別訳)
 これはちょっと違ってて、快楽、エロス?は否定していない。快楽を求めて愛が芽生えるのも、愛があって快楽を得るのも違わないと。修道院時代の禁欲のせいで性への興味が異常に?増したともあった。本能であることを無理に遠ざけるのは、歪ませるんだと思う。
今のエロ動画を簡単に見れる状況は、性欲を簡単に処理できて逆に、性欲に伴う行動(本能)を阻害していると思う。俗にいう「賢者」状態w でも、けっして望ましい状態ではないと思う。賢者ばかりなら人類は消滅するw
「己の敵に何を持って復仇すべきか?できる限り多くの善を行うべく努力せよ」
えっと、エリーゼのためにを作ったきっかけってなんだったっけ。読み雄が薬をきめて襲ってきたことだったか。自分の欲のために相手はどうなってもしらないという考えは嫌いだし、罰を与えられるべきと考えるけど、フランチェス子は違って、そういう人たちがうまくいくように考えるんですね。
憎しみとか非難とかっていうのは、読んでいても気持ちのいいものじゃないし疲れるけど、フランチェス子にはそういうのが全くなくて、読んでいて癒される。

登場人物について思ったこと、
ウィズ美とか、フランチェス子が口が硬いのに付け込んで男連れ込んで人んちでセックスするってどうなの?あれも、古賀さんと一緒で教育的配慮って気持ちもあったのかな、男に目覚めろよっ。違うな、自分の都合で友達を利用しただけか。それと、男性経験豊富なくせに可愛い顔して貞淑面かよ。ってか男性経験って付き合う上でマイナスじゃないんだねって気もする。。本人は懺悔してるけども。
クス夫だって処女願望笑えるし、猿轡させて手足縛ってって歪んでねw
読み雄にいたっては薬キメて強姦しようとするとかまともじゃない

ジェンダー
全然大したことがいえるわけじゃないんですけど、本の紹介でジェンダーっていうから、、


姫野カオルコ 著作一覧と作品概要、版元など(小説)
現代人のジェンダーを見つめる醒めた視線が光る直木賞候補作
◆◆朝日新聞web/Asahi.Com/作家に聞こう◆◆
恋愛小説というのはエロスという情感の敷衍です。読み手は多項式を展開させるかんじで読むのに、私はジェンダーについて因数分解してもらおうと書いている。これでは商品は売れません。そこで、ジェンダーについてはもっと別のストーリー仕立てにするべきだ、次作ではジェンダー問題は省こうと思ったのが、『ツ、イ、ラ、ク』を書く前のことでした。
ジェンダーの自分なりの定義:女性の性差別をなくす、男女同権を目指す思想
女性のお茶くみに反対したり、 田嶋先生みたいな人が、ジャイアンの妹みたいな顔で「男も結婚も子供もいらない」という思想w


ジェンダーの因数分解っていうのがよくわかなない。。


覚え書き 抜粋
p163「好きだ」ではない人物からは何をされても「気持悪い」とか「こわい」とか「重い」とか感じるものだ90%

こころに愛がなければ、どんな美しい言葉も相手にひびかない

p115 恥をかくってイヤなことだわ。恥ずかしいことってとてもイヤなことだわ。できれば恥ずかしい目にはあいたくないわ

p112 だからこそ、流れているときに大事にしたいのは羽飾り。騎士が帽子につけるあれよ。自分が恥をかいても他人には恥をかかせないという騎士道

p30 会ったとき「あ、ヤリたい」と男が思う女が女として価値があるということである。

p161そういう娘と息子の意向が一致する場合が多い。娘の意向として、「好きだ」といわれると「わたしも好きだ」にjなる。なぜなら、娘は「ひとりでいること」より「だれかがいること」のほうを格段に好み、娘が「ひとりでいること」を回避するために「私も好きだ」というと息子は「「おお、俺は選ばれた」とイノセントに信じる傾向があるからである

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