2012/07/22

陽気なギャングが地球を回す 横道にそれた雑感

読んだきっかけ
デスノートに見る暴力観http://keng2004.exblog.jp/5378538/の中に
この本の紹介があった

「リスクのない暴力」
夜月のように強いものが抵抗が出来ないものを一方的に叩くのは嫌悪感があるという内容。
「陽気なギャングが地球を回す」では、本筋である銀行強盗が「リスクのない暴力」ではなくて、
挿話である、いじめが「リスクのない暴力」だということ

 「リスクのない暴力」は嫌いじゃない。
デスノートも嫌いじゃない。人間がごみのようだのムスカさんの気持ちもわかるw
北斗の拳も「リスクのない暴力」。それを薄めるためか、ケンシロウの前で弱者が殺されケンシロウが怒りを爆発させるというのがパターンとしてある。
やられた方の痛みを全く考えられないせいかもしれない

  • 地道さんにみる抵抗できない感じ
SMのSも「リスクのない暴力」か。「地道さん」は抵抗が出来ない相手をいたぶるのが好きそうだ。臆病でおどおどしてるがゆえに、対等ですら安心して戦わないんじゃないかと思える。
神崎は、高利で借金させて恐怖心を植え付け人を操っている。借金が消えた後も強者として人を操る。
会社でも怖い人はいる。なんか抵抗できないんですよね
理不尽なことをいってくるわけじゃないけど。
強いものに抵抗できない感じはわかる

p200-201
この男は恐らく神崎の意見を伺わなくては、何一つ行動できなくなっているのだ。上司の顔色ばかりきにして、自分で判断することを放棄し、ありとあらゆる事柄を報告しなければ不安で仕方がない、そういうものがいる。 
「林は神崎が怖くて、あなたに相談しよとしたんでしょ?それを神崎に報告するなんて裏切りじゃないの」「地道はどうしてそれが裏切りになるのだ、と不思議そうに首を捻った。
「あなた、あたしと一緒に暮らしていたころのほうが、まだましだったわ」
「え?」
「魂のランクが下がってるわよ」
あー、自分もこのタイプかな。地道と同じタイプなんて痛いわ
でも、なんかしらんけど、こっちに責任が及びそうなことがあるじゃない。たとえば、システムを作って、旧システムのデータを移行して、新システムに計算を組むのはこっちがしたとしても、データは、微妙に新システムに合うように変換してるから、最終的にデータは運用側で責任をもってくれっていうんです。こっちがデータを移したから「私らではわからん」って言わんといてって
計算もそう、あの人が組んだから「私らではわからん」て言わんといてって
運用側の責任者が、積極的に、一から確認してくれたからよかったけど、女の担当なんて、そんな空気をありありと出してるからすこし嫌だ。
動作確認くらいせーよって。それもせんとまるで、「問題があったらあいつは真っ先に逃げる」って言いたそうで。それが、責任があるべきところから逃げてることになるのかな
(おまえのシステムリリースがヘボいだけやろって声に耳を塞ぎつつ)

何かあったら上司や同僚に報告する方。だって、問題が起こって報告しなかくて、他所から上司に問題があったことが知れたらら、上司だって、なんや聞いてへんわって、怒るでしょ

 寄らば大樹の陰に。長いものに巻かれ、声の大きいボスにへつらう、そういうタイプだ
そんなに悪いことか。
地道の場合は、仲間の林が強盗のあと罪悪感にかられて、地道に相談したのを、神埼に報告した
その結果、林は神埼に殺された。
地道が1千万の借金を返す段取りを、前の妻が銀行強盗して立て替えることを神埼にそのまま報告してしまって、つけこまれて、息子をだしにとられて脅されて4千万払うハメになる

本当に、魂のランクが下がった、人として信用出来ない見下げ果てた人間

自分は極力責任を取りたくないタイプだけど、情報を話した結果どうなるかの思考停止まではしてないと思う。

もともと、責任とりますっていっても、責任が取れない場合が多いと思う。
システムを責任持ってやり遂げますって、約束しても、うまくいかなかった場合どうやって責任の?かかった費用何百万も会社に弁済するのって。そんなん会社勤めで出来るわけない。できもしないことを出来るっていうのは詐欺だよね(笑)
野田総理にしても、原発再稼働、安全性に責任を持ちますって、事故で放射能が拡散されてどうやって責任とんの?
一生娘さんを幸せにします。責任とります。どうやって(笑)



p123「いじめか事故かなんて、分かりっこないっていってた。人を殺したら、かなり自慢できるっていってた」
 大津のイジメ事件や「せめてあのとき一言だけでも」を読んだせいか、引っかかった。
たんなる、小説の言葉、実際に当てはめるのは馬鹿げているけど。大津の加害者の言葉のように思ってしまった。自殺の練習までさせてたって言うし、自殺がゴールだと笑いながらいじめていたというし。(週刊文春 7/26号p157)
ちょっと話がそれるんだけど、同じ文春で加害者が携帯でいじめの動画を撮影してたというのがある。警察は加害者の携帯を押収して証拠に出来ないものか。かなり有力な物的証拠になるはず。でも、すでに半年以上過ぎてるから捨ててるかもしれないけど。
「リスクのない暴力」でいえば、この銀行強盗の話も「リスクのない暴力」に近い。世の出来事をまるで解説書を読んで対応する成瀬。成功が予定調和のようだ。まるで水戸黄門が、刃傷沙汰のあと印籠を出してことを収めるように、ほとんど緊張感がない。確かに登場人物それぞれが特徴のある能力をもっていて分かりやすし、話の展開も二転三転するんだけど、安心なところにすぐ手繰り寄せられる。真剣にのめり込んでああ良かったというところカタルシスがないのがすこし残念。読んでて面白いし隙がないのは保証する
保証しても責任はとれないけどねw
 
クライムストーリーのarakureで賭場荒らしや豪商荒らしは違和感があった。賭場だってそれで生活をしてる人がいるしルールがあるし営業努力おあるはず。それをひっくり返して盗られ方の生活はどうなるのって。それと、賭場荒らしなんてずっと続けられるわけがない。それで生活なんて出来るわけがない。いつか捕まるに決まってる。だから、読んでいてずっと捕まる不安感があって、それが嫌だった。
でも「陽気なギャングが地球を回す」は特にそれで生活してるわけでもなく、止めようと思えば止められるし、響野のが演説してた、盗まれても保険が下りて保険屋が損するだけというのが利いたのかもしれない。事故率からして損すらしないのかもしれない。だから銀行強盗といっても嫌悪感や捕まる不安感も無かった。

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