2011/11/12

猫を抱いて象と泳ぐ 小川洋子 P253

老婆令嬢p253
「そう、だからチェスを指す人間は余分なことを考える必要などないのです。自分のスタイルを築く、人生を表現する、自分の能力を自慢する、自分を格好よくみせる。そんなことは全部無駄。何の役にも立ちません。自分より、チェスの世界の方がずっと広大なのです。自分などというちっぽけなものにこだわっていては、本当のチェスはさせません。自分自身から解放されて、勝ちたいという気持さえも超越して、チェスの宇宙を旅する・・・。それが出来たらどんなにすばらしいことでしょう」

野球はどうなんだろう。職業野球では自分をよく見せないと生活できないし、最善よりも最強が求めらる。観るほうも、自分なんかは勝ち負けを気にして途中のプレーはあまり見ていなかったりする。
どこかの会議みたいに賛成と反対というボールをぶつけ合うだけの不毛な議論
弱いものを負かして勝ちをうる、利益をうる
そういうんじゃなくて、コミュニケーションのような、相手が投げたボールを受け取って、どう感じたかを相手の取れるボールで投げ返す。そういうのが大事といいたいんじゃないかと思う
チェスの対戦でも相手と対話して、相手がどんな人柄、性格なのか分かるといっている。
自分が話しても聞いてもらえなかったり排除されるようなことは悲しいし、
自分の求めてることや、困ってることを助けてくれたらすごくうれしいですね
仕事で困ってると、骨を折って動いて助けてくれる人もいるし、全然関係ないって態度の人もいる。
まあ、金を借りにきたら速攻で断るでしょうけどw
それにコミュニケーションが大事というのに限って、「お前が言うな」的な奴もいる罠

エチュードに悲鳴が響き渡った時、総婦長さんは夜勤明けで眠りについたところだった。彼女は無意識に壁の白衣をはぎ取った。彼女の生涯で、これほどすばやく白衣に着替えた瞬間は他になかった。

婦長さんにとってリトルアリョーヒンが特別な存在だったことが示されているようでうれしい。

p205 「どうして、毎回、ガウンを修繕しなければならないんだろう」
「脇がほつれたり、裾が裂けたり。それに背中は汗染みだらけになっているの」
その後にミイラに起こったことから、それがなぜだか分かるよな

p252「おばあさまの前であなたとチェスがさせたことは、私にとってすばらしい経験でした。一手一手に温かい声援をうけて、まるで駒の動かし方を覚えたばかりの、子供のころに戻ったようでした。

 p225「だからこそ君を、アリョーヒンのチェスを、海底の泥で汚したくないんだ」
「いいの。あなたがそんなふうに責任を感じたり、憤ったりする必要なんて、これっぽっちも・・・」
落ち葉を踏みしめながら、いいの、いいの、いいの、とミイラは呪文のように繰り返した。
「お願いだから大騒ぎしないでほしいの」

p210「チェス盤を見つめて、じっと考えるときのあなたの顔が好き」

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